
大槌の山・川・湧水・海はどうつながる?町の地下を流れる水をたどる
大槌は海の町として知られています。でも、町の水を海だけで見ると、大槌の地形の面白さを半分しか見ていません。山に降った雨や雪は、川として流れるだけでなく、地中へ浸み込み、地下水となり、町の中で湧き出す水にもなります。
大槌町の中心部では自噴井や源水川の湧水を見ることができます。山が海まで迫り、川が短い距離を急勾配で海へ下る三陸の地形が、山・川・地下水・海を近い距離でつないでいます。

大槌では、なぜ町の中から水が湧く?
大槌町の三陸ジオパーク案内では、大槌川と小鎚川に挟まれた町方地区に自噴井があることを紹介しています。上流から地中へ浸透した地下水が、高い圧力を受けながら下流へ流れ、一部が地表へ湧き出します。
表層に近い地下水は源水川の湧水にもなり、古くから生活用水として使われてきました。川の水とは別に、地中を通って移動する水の経路が町の下にあります。
「自噴井」と普通の井戸は何が違う?
自噴井は、地下水の圧力によってポンプでくみ上げなくても水が地表へ出てくる井戸です。大槌では、山地から海側へ向かう地下水が地下の砂礫層などを通り、圧力を持った地下水となる場所があります。
1960年代の地下水研究でも、大槌川下流の砂礫層を流れる伏流水や、自噴する井戸の存在が報告されています。つまり、大槌の湧水は最近つくられた観光的な特徴ではなく、地形・地質と関係する水循環として長く研究されてきました。
湧水は、生き物にも関係している?
源水川の湧水は年間を通じて水温・水質が比較的安定しており、大槌町は県内唯一の淡水型イトヨの生息地として紹介しています。町中の小さな水路ですが、地下水がつくる環境そのものが生き物の生息条件になっています。
大槌の湧水は、町の水循環や淡水の生態系を知るうえで大きな特徴です。一方、海産物のおいしさは魚種や生育環境、漁場、加工などさまざまな条件で決まります。湧水と海産物の味を単純に結びつける話ではありません。

川と地下水は、その先で海へつながる?
川の水は海へ流れ、地下水も沿岸部へ向かって動いています。東日本大震災後の大槌を調べた地下水研究でも、沿岸域は地下水の流れ出る場所として扱われ、震災後も各地で湧水が確認されています。
ただし、「山の栄養が地下水で海へ運ばれるから、大槌の魚が必ずおいしい」という因果関係まで、この事実だけで言うことはできません。山・川・地下水・海が水の循環でつながることと、個別の海産物の品質は分けて考えます。
大槌を「海の町」だけで見ない
大槌町は、山から海までの距離が短く、大槌川・小鎚川、湧水、自噴井、湾が近い範囲にあります。水を追っていくと、海産物だけでは見えない町の輪郭が見えてきます。
三陸の海を理解するためにも、海だけではなく、そこへ流れ込む川や地下水、背後の山地まで見る。大槌は、そのつながりを町の中で実感しやすい場所です。
よくある質問
大槌には本当に自噴する井戸がある?
大槌町公式の三陸ジオパーク案内で、町方地区の自噴井が紹介されています。地下水の圧力で水が自然に湧き出す井戸です。
源水川の水は、なぜ一年中安定している?
地下水を主な水源とする湧水であるため、地表の気温変化の影響を受けにくく、水温・水質が比較的安定しています。
大槌の湧水が、海産物のおいしさを決めている?
湧水の存在だけで、個別の魚介の味や品質が決まるわけではありません。大槌の水循環は、町の地形や自然環境を知る手がかりとして見るのが分かりやすいです。
この記事を書いている河合商店について
この記事の執筆・編集責任は、岩手県大槌町の有限会社河合商店です。店舗やこれまでの歩み、代表・河合秀保については、「河合商店について」でご紹介しています。
























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